膝の痛み Q&A



 膝の痛みで悩んでいませんか? 

 病院に通院しながらも、なかなか膝の痛みがなくならない方がいます。
「変形性膝関節症」は長い時間をかけて徐々に軟骨がすり減ってくる病態
ですので、この軟骨を再生させることが出来なければ痛みを完全に無くす
ことは難しいと言われています。 現在治療法には様々なものがありますが、
残念ながらすり減った軟骨を再生させるだけの効果を認めるものはありません。
そのために行きたい旅行を我慢したり、大好きなゴルフを諦めたりしている方が
たくさんいます。

 当院ではそんな皆さんに、元の生活を取り戻すためのお手伝いをさせて
頂きたいと思っています。歳だからと諦めず、もう一度しっかりと
自分の足で歩いて、楽しい人生を取り戻しましょう。


Q1.飲み薬は効くのですか?
一般的に処方されている薬は消炎鎮痛剤です。様々な強さの薬が
ありますので、症状に応じて使い分けることが必要です。これだけ
でも軽度の変形性膝関節症には効果がありますが、変形が重度に
なると十分な効果は得られにくくなります。

Q2.ヒアルロン酸の注射は効果ありますか?
内服と同じで効果はあります。ヒアルロン酸は関節の中で炎症を抑え、
また 潤滑油として働きます。ただし数回注射しただけでは効果が出にくい
こと、また重度の変形性膝関節症には効きにくいという欠点があります。
Q3.外来でのリハビリはどのように行いますか?
主に筋力をアップして、傷んだ軟骨を筋肉で支えるようにすること
が目的です。四頭筋という膝の前にある筋肉を鍛えます。痛いので
歩かなくなると徐々に筋肉が衰えて、かえって痛みが増すことも
ありますので、指導されたリハビリメニューを繰り返し行うことが
大切です。
Q4.手術にはどのようなものがありますか?
関節鏡を用いた滑膜切除術や、骨切り術、人工関節置換術などが
あります。滑膜切除術では変形した膝の中の滑膜という組織を切除
して炎症を抑えます。骨切り術では、O脚になった膝の脛骨を矯正
するように骨切りすることで、真っ直ぐにします。人工関節置換術
では傷んだ軟骨切除して、人工物に置き換えます。それぞれの手術には多くの利点・欠点があり、どの手術が最も適しているかは膝の
状態などを総合的に見て判断します。

Q5.人工膝関節の手術をした後はどれくらいで歩けますか?
術前にどれくらいしっかり歩いていたのかが大きく影響しますが、
だいたい2日目には歩行器(押し車のようなものです)につかまって
歩くことが出来ます。人工関節は医療用のセメントでしっかりと固定されているため、すぐに歩いてもずれたりすることはありません。
Q6.麻酔の方法はなんですか?
行う手術にもよりますが、当院では全身麻酔を行なっています。
また必要に応じて硬膜外麻酔や神経ブロックを併用します。全身
麻酔の利点は合併症が少ないこと、万が一の急変時にも対応が
しやすいことなどが挙げられます。麻酔は専門の麻酔科医が行い
ますので安心して下さい。
Q7.手術の時や麻酔が覚めてからは痛くないですか?
手術の時は完全に眠っているため痛くありません。術後に麻酔から
覚めてからは残念ながら全く 痛くないとは言えませんが、出来る
だけ痛くないように硬膜外麻酔や神経ブロックを行いますし、また
痛み止めの注射なども準備しています。 痛ければ痛いとはっきり
知らせてもらえれば、可能な限り対処させて頂きます。

Q8.輸血はするのですか?
必要に応じて行います。 以前には輸血というと肝炎ウイルスなどの
感染などが問題となっていましたが、最近は検査技術の向上により
その危険性は限りなく減少しています。当院では人工関節の手術の場合、1ヵ月の待機期間を設け、その間に自己血貯血を行います。
正確には800mlの自分の血液を貯めておき、手術後に戻すという
方法です。自分の血液であれば感染やアレルギーなどの問題は
ありません。ただし元々重度の貧血などがある場合にはこの方法は
行えないことがあります。
Q9.手術後のリハビリはどういうことをするのですか?
人工関節などの待機手術の場合、手術により筋力低下が予想される
ので、手術前より筋力強化のリハビリを行います。手術後は疼痛に
応じて歩行訓練や筋力訓練、膝を曲げる練習を行います。 専門の
リハビリスタッフがお手伝いしますので、安心してお任せ下さい。
Q10.人工関節の手術に合併症はありますか?
一般的にはインプラントの摩耗、感染(手術部位に細菌が入ること)
や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などが挙げられます。
人工関節の耐用年数は15~20年と言われており、それほど無理する
ことがなければ摩耗の可能性は低いと言えます。感染に関しては
どんなに大きな病院でも発症することがあり、全く起こらないとは
言えません。当院ではクリーンルームを完備し、また人工関節用の
特殊な手術着を使用してその可能性を少しでも低くする努力を行なっています。深部静脈血栓症についてはガイドラインを遵守した対策を
行い、血栓を認めれば抗凝固剤などを用いて対処します。
Q11.最小侵襲手術は出来ますか?
出来る場合と出来ない場合があります。当院では可能な限り筋肉
などを損傷しない手術を心がけますが、「最小」にこだわる余り、
手術時間が長くなったり合併症を起こしてしまったりすることが
ないように、症例に応じた計画を立てることにしています。
最近の研究では「最小侵襲手術」と「通常の手術」とでは、術後
半年が経過した時点では差がないと報告されています。

 以上、よく相談される質問に対しQ&Aを作ってみました。他にもまだまだ
分からないことが多いと思いますので、外来にてお気軽にご相談下さい。





   
     
2003 Yamauchi Seikei Geka Allright Reserved