骨折・脱臼・捻挫、その他軟部組織(皮膚、筋肉、靭帯など)損傷などの
治療に際しては長期の固定を必要とする場合があります。
しかし、長期の固定は同時に関節の拘縮(こわばり)や筋肉の萎縮、
筋力の低下などを引き起こし、治療に悪影響を及ぼします。
したがって、治療に際しては出来る限りこれら関節の拘縮、筋肉の萎縮、
筋力の低下といったものを防ぎ、身体の機能保持重要な筋力の保持、
もしくは回復に努めることが順調な治療経過を得る事につながります。
以上の意味からリハビリは固定を除去した日から始めるのではなく、
固定を施した日から始めることが重要となります。
さて、それでは実際にどのようなリハビリを行うかということですが、
治療上固定した関節自体を動かす事はできないので、固定期間中は
その周囲の関節に対し、それらの関節を動かさない事によって起こる
関節拘縮、筋萎縮、筋力低下を防ぐことを目的とした自動運動(自分
自身の力で行う運動)を行うようにします。
例えば、手関節を固定した場合であれば、指の曲げ伸ばし、コブシの
にぎり・ひらき、肘のまげ伸ばし、肩の運動といったようなことです。
このような運動を積極的に行うことで、固定除去後に関節拘縮や筋萎縮、
骨萎縮の少ない状態を得る事が出来ます。
しかし、このような運動を行ったとして固定除去後のリハビリは
不必要であるかというと、理想的には不要な状態になって
いることが望ましいのですが、まったく関節拘縮や筋萎縮を
残さずに済ますことは不可能であり、関節拘縮や筋萎縮に
対するリハビリが必要となります。
そのため身体に元の機能を取り戻す為のリハビリとして、
こわばった関節の動きを改善するための関節可動域訓練や
筋力を回復するための筋力増強訓練などが重要なものに
なります。
以下にいくつかのリハビリの例を示します。