医師が話す整形外科の病気

 
 
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  医師 山内四朗
 

 腰痛の治療法には、保存的治療と手術療法がありますが、
基本的には先ず保存的な治療法が第一選択となります。

保存的治療法としては、腰痛の強いときには安静が一番です。

それでも痛みのとれないときには鎮痛剤、コルセット、神経ブロックなどを行います。

少し痛みが和らげばリハビリテーションや、腰、背筋の筋肉を鍛えたり、
腰痛体操などでストレッチングなどを行います。

どうしても痛みが軽快しない場合や、下肢に麻痺が生じれば、手術の適応となりますが、社会的、生活上の状況も考慮して手術をすることになります。

手術法は痛みや麻痺が何によって引き起こされているかによって大きく異なります。
基本的には痛みや麻痺を引き起こしている物を取り除く(除圧)ことですが、
更に背骨がぐらつかないよう椎体の固定術を追加することも多く行われます。
固定には骨移植、金属のワイヤーやネジを使用します。

 

 

 腰痛を予防するためには普段の心がけも大事です。

よい姿勢が腰痛予防の第一歩ですが加齢による背骨の変形や、特に女性は骨粗鬆症を合併していることもあり、良い姿勢を保持することが困難な場合もあります。また姿勢によっても椎間板の内側にかかる力は大きく変化します(図9)。

 

 

 

当然のことながら臥床時には圧は最も少なく、腰をまげて重いものを持つときには
圧は非常に大きくなり、腰痛を引き起こすことがあります。

しゃがんで物を持つときには膝を軽く曲げ、
物を手前に引き寄せて持つようにしましょう。(図10)。

 臥床、座位、立位、腰の回施動作などでの姿勢にも十分な注意が必要です。

 

 

腰痛があって、寝るときには、頭と膝の下に枕を入れて
背骨の緊張を取り除きます。
また腰椎の前弯を減少させるようお腹の下に枕を入れます(図11)。

 

座るときには膝と股関節を九十度に曲げ、
背筋を伸ばしましょう(図12)。

 

腰を捻るときには膝を少し曲げ、
骨盤と腰全体で捻るようにします(図13)。

 

 腰痛症には種々の原因があり、正しい診断とそれに伴う治療が必要なことは論を持ちません。癌や悪性腫瘍の場合もあります。
腰痛は早めに整形外科を受診し、正しい診断をしてもらうことが大事です。
また壮年期以降の腰痛には加齢的な要素があり、1〇〇%の治療効果が期待できないこともありますので、腰痛予防を心がけ、腰痛と上手に付き合う事を強調したいと思います。


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