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発酵食品 免疫力

ここ数年間のコロナ禍。食事や料理(調理)、食材、調味料、加工品への
興味・関心が高まった人は多いようです。そんな中、注目度が高まっているのが
「発酵食品」です。
「発酵食品」には味噌や醤油、ヨーグルト、ワインなどいろいろあります。でも、
「おいしいから」「体にいいから」「勧められたから」「ウチの冷蔵庫にあるから」
という理由だけで、食べたり飲んだりしている人は意外と多いのではないでしょうか。
もったいない…。
というのも、その歴史や効能、地元福井とのかかわりを知ることで、もっとおいしく、
楽しく、効率よく、体に取り入れることができるんです! もちろん、健康にだって
しっかりつながるんです!
そこで、今回は「発酵食品」がもっと好きになる、もっと知りたくなる、人生を
変えるかもしれない?! いろいろな情報と簡単に取り入れられるレシピをご紹介します。



そもそも発酵食品って何?
 

乳酸菌や麹菌などの微生物の中の「酵素」(26ページ参照)によって、
食品の持つたんぱく質や糖などが分解されて、別の食品に変化したものです。
発酵食品は、生きていくために不可欠な酵素を豊富に摂取できるほか、
食品の保存性が高まったり、うまみが増したりします。メカニズムとしては、
食品が腐敗することと同じです。
ちなみに「発酵」と「腐敗」の大きな違いは、「食べられるか」か
「食べられない」か、人体にとって「無害」か「有害」かで区別されます。


いつ、どこで生まれて、誰が伝えたの? 歴史について
 

世界最初の発酵食品は、牛乳から偶然にできたヨーグルトとされ、
紀元前5000年頃に 生まれたと言われています。また、別の書では
約8000年前、コーカサス地方(黒海とカスピ海にはさまれた
コーカサス山脈とそれを取り囲む低地からなる地域で、アゼルバイジャン、
ジョージア、アルメニアの3国)のワインであるとなっています。 
また、イランでは約7000年前にワインを作成した証拠が確認されており、
諸説あるようです。

古代中国では、さまざまな食材を塩漬けにして
保存する過程で食材の発酵が経験的に習得され、
それらは醤(ひしお)と呼ばれていました。
魚醤、醤油、味噌、漬物などの原型である醤に
ついての最古の文献は、紀元前11世紀頃の
周王朝初期の記録書『周礼』です。

一方、日本では、縄文時代の末期には醤の利用が
始まっていたようですが、本格的に作られるように
なったのは、中国や朝鮮半島から製法が伝えられた
大和朝廷の頃であったともされています。かなり
古い時代から日本人は発酵食品を食べていたと
されています。


今日も食べたかな? 福井とのかかわり  

皆さんは、福井県が昔から発酵食品と深い縁があることをご存知でしたか? 
福井県は発酵王国と呼ばれるほど、さまざまな発酵食品が作られてきました。

福井市の中心部は江戸時代に福井藩の城下町として栄え、この地域には、
実はいまも歴史ある醬油、麹(こうじ)、味噌などの蔵が現存しています。
また、福井県は全国有数の米どころで、コシヒカリの生誕地です。
白山霊峰の山々から脈々と流れる清らかな名水が県内中から湧き出ており、
県内にはそれらを使った米酢を製造している会社があります。旨味を最大限に
生かした味わいは全国にも誇れる逸品です。

雪深い福井では、夏から秋に収穫された農作物などを発酵させ、保存食に
していました。
永平寺周辺の郷土料理「なすの地辛子漬け」は、夏場にたくさん採れるなすを
塩漬けし、冬に塩抜きして米麹と地辛子を混ぜ、漬け込みます。「はまな味噌」 は
福井全域で幅広く食べられている発酵食品で、塩漬けのなすやきゅうりに大豆麹、
米麹、甘酒などを混ぜて発酵させたものです。
発酵食は保存食として生きていくためにも必要なもので、どの家庭でも親しまれて
きました。

「へしこ」も福井を代表する発酵食品です。樽に押して漬け込むことを若狭言葉で
「圧し込む(へしこむ)」と言ったことが語源だともいわれるそうです。
その作り方は、内臓を取った魚を2週間塩漬けした後に糠と一緒に樽に仕込んで、
夏を越して10ヶ月ほど熟成させます。材料の魚は主に
サバが多いのですが、イワシやイカもあるそうです。
冷蔵庫のない時代、保存がきくへしこは夏場の貴重な
たんぱく源にもなりました。

このように、福井県民は発酵食品と共に春夏秋冬を
過ごしてきました。皆さんのご家庭にも昔から
引き継がれてきた発酵の知恵があるかもしれませんね。

 

よく聞く「酵素」って何モノ? 酵素の正体  

体の中で起きるさまざまな化学反応を引き起こすために
触媒として必須のたんぱく質が「酵素」です。
ヒトを含む生物が摂取した食べ物を消化・吸収・代謝など、
体の中で起こるほとんどの化学反応には「酵素」がなくては
なりません。しかし、酵素はそれぞれある特定の反応しか
触媒することができません。それを酵素の特異性と呼んでいます。
例えば、たんぱく質を分解する酵素は、たんぱく質を分解する
ことしかできず、でんぷんや脂質を分解することはできません。
でんぷんや脂質を分解するためには別の酵素が存在していて、
でんぷんや脂質しか分解できません。そのため、ヒトの体内には
約5000種類もの酵素があると言われています。


“菌”ってこんなにあるの? の種類  

コロナ禍では“悪い菌”ばかりが注目を集めていますが、体に良くておいしいを
生み出す素晴らしい菌はたくさん存在しています。

菌の種類
 
細菌  乳酸菌…糖を乳酸に変える➧➧ヨーグルト、チーズ、漬物
    納豆菌…稲わらに生息し、加熱した大豆に加えて発酵させる➧➧納豆
    酢酸菌…アルコールを酢酸に変える➧➧お酢

酵母  サッカロミケス属…酵母がブドウ糖をアルコールと二酸化炭素に分解➧➧ビール、シャンパン
                   ▼
          この時発するガスを利用➧➧パンの発酵
    キャンディダ属…飼料などの発酵に利用

カビ  麹カビ…米に麹カビを生育➧➧米麹
       大豆のたんぱく質を麹カビで分解して、酵母や微生物にて発酵➧➧味噌、醤油
    青カビ・白カビ…カビを用いて発酵・熟成➧➧カビイキチーズ(カマンベール、ブルーチーズ)
    
カワキコウジカビ…かつおぶし
    クモノスカビ…餅麹をクモノスカビによって発酵/紹興酒


 

【参考文書】
創業500年の麴店も 知られざる「発酵食品のまち」福井市 https://www.asahi.com/and/article/20191007/300149576/
旬の里ふくい 発酵王国で造られる調味料
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/021033/syun/con-76.html
みんなの発酵BLEND
https://www.hakko-blend.com/column/journey/04.html

 


あれもこれも発酵食品 上手な取り方食べ方  

食べると体にいい作用をもたらす発酵食品。たくさん食事に取り入れたい
ところですが、食べ過ぎると塩分の取り過ぎになったり、高カロリーに
なってしまうものもあります。また、単品で食べて効果が出やすいもの、
他のものと組み合わせて摂ると効果がより期待できるものとがあります。
それぞれの1日の適切な摂取量や上手な食べ方をご紹介します。

納豆   キムチ
納豆はそのものがプロバイオティクス
(善玉菌)とプレバイオティクス
(善玉菌のエサとなるもの)を含んで
おり、単品でも効果がでやすい食品です。
さらに、プレバイオティクスをプラス
するために、食物繊維を多く含む
海藻類や キムチと併せて食べるのも
良いでしょう。 1日の摂取量は、
1日1パックが目安とされています。
  キムチもそのものがプロバイオティクスと
プレバイオティクスを含んでいるため、
単品でも効果が期待できますが、豆腐や
納豆、長いもなど食物繊維を多く含む
ものと一緒に食べるのがおすすめです。
キムチは炒めると含まれている善玉菌は
死んでしまいますが、菌の死骸は腸内
細菌のえさになるので、加熱調理しても
しっかりメリットは残ります。
キムチは塩分が多く含まれているので、
あくまでお漬物としての扱いで考えて、
1日の摂取量は小皿にとる程度に
しましょう。

甘酒   チーズ
甘酒の酵素は熱に弱いため、加熱処理して
ある市販のものよりも手作りしたものが
より効果を得られます。また、60℃程度
の温度にすると、より酵素が活発に
働きます。甘酒は糖質を多く含むため、
飲み過ぎると高カロリー摂取や高血糖に
つながります。
1日の摂取量は、おちょこ1杯~コップ1杯
(50cc~200cc)程度にしましょう。
やさしい甘さで心もいやされる〜!
  チーズは単品で食べるよりも、食物繊維
を多く含む全粒粉のパンやはちみつ、
トマトなどと併せて摂ると効果的です。
チーズは塩分と脂質を多く含むため、
食べ過ぎるとカロリーオーバーや塩分の
過剰摂取につながります。
間食として食べる場合は、6Pチーズの
大きさで、1日に1~2個程度にされると
良いでしょう。
6Pチーズ 1個でも満足感あるよね!

味噌   ヨーグルト
味噌の乳酸菌は50℃、酵母は70℃で
死滅してしまうため、手作りのものや
酵母が生きている味噌を選ぶと効果が
得られます。味噌汁などに入れる際は
沸騰してから火を止めて、10分程度
置いてから入れるとより効果的です。
味噌の1日の摂取量の目安は、大さじ
1杯程度(味噌汁だとお椀2杯)に
すると、塩分過多も避けられるでしょう。
  ヨーグルトと併せて摂りたいものは、
はちみつやオリゴ糖、食物繊維を多く
含むグラノーラです。一緒に食べると
おいしい上に乳酸菌の働きも良く
なります。ヨーグルトは、カロリーは
そこまで高くないですが、脂質を
多く含みます。なるべく低脂肪や
無脂肪のものを選ばれると良いです。
1日に食べる量は、食べきりサイズ1つ
分(100g程度)にすると良いでしょう。




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