院長が話す整形外科の病気

 

  院長 山内健輔
  院長のプロフィールはこちら

 

   

 平成30年3月5日の福井新聞にこのような記事が掲載されました。
「情報技術活用で優秀賞 救急現場 心電図など共有 福井大医学部」


 これは急変患者を運んでいる救急隊が、タブレット端末などで記録した心電図や
画像をインターネットで受け入れ先の医療機関に送付して、到着する前から情報を
共有し治療開始の時間を短縮し救命率を上げる、という試みです。これまでは患者
の 容態を救急車内から電話で伝えるのみで、医師が欲しい情報が十分伝わって
いませんでした。この試みはすでに他の先進国や他県でも実証研究が行われて
いて、救命率を上げているという結果が出ています。



 このようにインターネットにつながった機器を医療に役立てようというICT,情報
通信技術が広まってきています。以前から総務省や厚生省が主体となり、健康・
医療・介護分野におけるICT化の推進を図ることで、人口減少・少子高齢化・医師
不足などの課題を解決しようという試みが進められています。最近になってようやく
実臨床に使える医療機器が誕生してきていることから、導入しやすくなってきて
いるのです。



 とは言ってもなかなかピンときませんね。簡単な例をあげれば、その最たるものが
電子カルテです。総合病院では電子カルテは当たり前になっていて、院内どこでも
カルテを見ることが出来ること、医師はわざわざ集まらなくても治療に参加することが
可能になりました。情報漏えいの観点からインターネットにつながっていることは
あまりありませんが、最近はセキュリティーもしっかりしており、離れた病院間で
情報をやり取りすることも珍しくありません。



 当院でもこうした時代の流れを受け、ICTを取り入れようと動き出しています。
しかし多くの医療機器は電子カルテを使うことを基準に作られていることが多く、
なかなか当院でも使えるものがないのが現状です。以下に現在検討中のものを
紹介したいと思います(平成30年3月末日現在)


(1)院内Wi-Fiの完備 : Wi-Fiとはスマートフォンなどの機器を無線でインターネット
と繋げる技術のことです。当院では診療待ち時間の短縮のために様々な試みを
していますが、それでもお待たせすることがあります。待ち時間の間、少しでも
退屈しないように、また少しでも待ち時間を短く感じてもらうように、待合室に
Wi-Fiを設置する予定です。これによりお手持ちのスマホで雑誌や漫画、動画などを
快適に閲覧してもらうことができます。また病棟にも設置しますので、入院中にも
利用してもらえます。



(2)腕時計型活動量計の導入 : 皆さんはちゃんと運動していますか?どれくらい
寝ていますか?それらの時間を勝手に記録してくれる機械があります。腕時計型で
付けっ放しでオッケー。起きている時も寝ている時も自動で運動量や睡眠時間を
測定してくれます。毎日の運動量を見える化することで、運動が足らないな、もう
ちょっと歩くようにしてみようかな。など運動に対して前向きになれます。また睡眠も
単に時間だけでなく、浅い睡眠と深い睡眠を分けて記録してくれますので、短くても
しっかり寝たのか、長いけど熟睡してないのかがわかります。このように毎日の
運動や睡眠時間に気を配り、規則正しい生活をすることは健康を維持するため
には重要なことです。



(3)薬剤オーダーシステムの導入 : 当院では多くの薬剤を扱っていますが、
特に外来では痛み止めを始め、胃薬、神経痛の薬、漢方薬、湿布などは1週間で
大量に処方されています。その分を新たに補充するわけですが、現在は紙に
一つずつ必要な薬を書いてメーカーさんに発注しています。少なければ大した
手間にはなりませんが、多い場合はその分手間も増えます。その手間を軽減する
目的として特別な機器を導入する予定です。コンビニでは商品のバーコードを
読み取って支払い金額が表示されますが、この機器もバーコードで必要な薬を
読み取り、数量を入力するだけで発注が済んでしまいます・



(4)持参薬鑑別支援装置の導入 : 皆さんが当院もしくは違う病院でもらった
薬は「一包化」されていますか?「一包化」とは複数の薬を飲む時間ごとに分けて
薄い白い紙の袋に入れることです。こうすることで飲み間違いが減るため、とても
便利です。しかし一包化された薬の中身を確認しようとするのは大変です。薬剤
情報の紙があれば楽ですが、なければ一つ一つ薬に印字されている小さい
アルファベットや数字を見て、薬の本で調べなければいけません。


 このようなことは皆さんが入院した時に起こります。どこの病院でも持参薬、皆さんが
入院した時に持ってこられる薬のことですが、これを確認するのはとても大変です。
時に1時間以上もかかることもあります。


 この持参薬鑑別支援装置では、一包化された複数の薬をカメラで撮影するだけで、
あっという間に薬の名前が分かります。またその一覧表も作成できるため、今までの
手間を大きく解消できます。


 現在のところ、導入を検討、予定しているのはこのくらいですが、今後もさらに
導入可能なものがあれば積極的に取り入れたいと考えています。ただ医療に関する
機器は高額なものが多く、導入には少々勇気がいります。しかし導入することで
スタッフの煩雑な作業が減り、実際の医療・介護にかける時間をより増やすことが
できると考えています。


     




 
過去の掲載内容をご覧になりたい方は
こちらをクリックしてください
バックナンバー

 
医師が話す整形外科の病気をご覧になりたい方は
こちらをクリックしてください
医師が話す整形外科の病気






Topに戻る
   
     
2003 Yamauchi Seikei Geka Allright Reserved