院長が話す整形外科の病気

 

  院長 山内健輔
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 エコーを使った検査といえばやはり内科、産婦人科でしょうか。お腹が痛い時や
妊娠中の検査に、今やエコーはなくてはならないものになっています。皆さんも
一度はエコー検査を受けたことがあるのではないでしょうか。


 そんなエコーが整形外科にも普及してきました。以前は大きな病院だけのもの
でしたが、技術の進歩によりエコーが小型化し、また画質も格段に良くなってきた
ことで開業医でも使いこなせるようになったのです。




 さて、エコーとは一体どういうものなのでしょう? 細かく説明するのは難しいの
ですが、例えばイルカやコウモリが同じ仕組みを使っています。どちらの動物も
超音波を出し、周辺から反射して戻ってきた超音波をもとに自分のいる場所や
障害物の位置など様々な情報を得ています。エコーの器械も同じで、骨や靭帯に
反射して戻ってきた超音波を瞬時に解析して画像としてモニターに映すわけです。


 では、どうしてエコーが整形外科に必要なのでしょうか。一般的な整形外科の
病院にはレントゲンやMRIの設備があります。当院にはCTもあって、これに
さらにエコー? 必要なの?と思われるのはもっともです。でもエコーには
エコーなりのいいところがたくさんあります。それは何と言っても「手軽」に
「細かいところまで観察できる」ということです。


 「手軽」というのは、レントゲンやCTではX線を使うので被爆の問題があります。
何十回も撮影するのでなければほとんど問題ない範囲ですが、やはり不要な
被爆は避けたいものです。MRIは被爆はしませんが一回の撮影に30〜40分
かかってしまいます。エコーなら当てるだけ、被爆もないし時間も数分で済みます。
この手軽さがエコーの利点です。またエコーは拡大して見ることが出来るので、
1〜2㎜の骨や靭帯でもはっきりと映ります。これにより例えば捻挫で痛めた
靭帯を直接確認したり、レントゲンでも映らない小さい骨折を見つけたり、今まで
以上に診断を確実にすることができます。


 他にも利点はあります。レントゲンやMRI、CTは、撮影中は動いてはいけません。
じっとしていてもらわないと画像がブレてしまいます。でもエコーは動いていても
観察できます。なのでじっとしている時に観察した時は正常に見えた靭帯も、
動かしながら観察すると損傷したり拘縮したりしているということもあり、より診断の
精度を上げることができます。




 さて、このようにいいことづくめのエコーですが、当院ではどのように使ってきた
のかをお話ししたいと思います。


 エコーを導入したのは5年前でした。。その時は下肢の血栓を見つけることと
心臓の機能を調べることだけが目的でした。ちょうど当院に人工膝関節を行う
ための全身麻酔の手術を導入する時期であり、手術の最大の合併症である
下肢の血栓を発見すること、そして人間の臓器で最も大切な心臓の機能を
しっかり評価して手術を円滑に行うことを目標にしていました。その後少しずつ
できることを模索し、エコーの利点を最大限に生かせる方法として肩関節と
足関節の検査を始めました。肩は腱板という腕を動かすのに必要な部位の
損傷を確認するため、足関節は捻挫をしっかりと評価し治療方針を決めるため、
です。そして2016年の秋頃から肩関節痛に対し、単に関節内に薬を注射する
だけでなく、関節を構成している筋や腱にエコーを見ながら直接に薬剤を注射
するようにしました。これは整形外科の中でもまだ始まったばかりの領域ですが、
それでも即効性があり効果も長く続くと、ある程度の手応えを感じています。


 このようにエコーについて紹介するといいことばかりのようですが、整形外科に
おけるエコーは現段階では使える領域に限りがあり、またどの痛みにも使えると
いうわけではありません。しかし当院ではこれからも積極的にエコーを用いて
少しでも診断、治療に生かせるようにと思っています。気になる方は気軽に
相談してください。


 
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