院長 山内健輔
 

 

   

 整形外科で爪? と思われる人も多いのではないのでしょうか。確かに爪に関しては
一般的に皮膚科が扱うことが多いようです。しかしこうして毎日外来を行っていると、
それなりに爪で困っている人を多くみかけます。



 多くは「爪がぐるっと巻いて、皮膚に食い込んで痛い」という、いわゆる「巻き爪」です。
これに対して、最近いくつかの対処方法を取り入れましたので、今回はこの「巻き爪」に
ついてお話ししようと思います。



 まず爪のお手入れの仕方からお話ししましょう。
皆さん、爪を短く切りすぎていませんか? 短い方がなんとなくいいような気がする、
という気持ちはよく分かりますが、残念ながらそれはダメです。爪を短く切ってしまうと、
その先端が伸びてくるときに皮膚に突き刺さってしまうことがあります。これを「陥入爪」と
いい、強い痛みや感染を起こすこともあります。爪は長めに、「スクエアオフ」という
切り方が正しいと言われています。つまり引っかからない程度まで伸ばして、両端を
やや丸みを付けるように切る。こうしておくことで爪のトラブルはある程度防ぐことが
できますし、もし痛みが出たときにも対処しやすくなります。



 乾燥もいけません。足全体をしっかり洗ってから保湿剤などを塗っておくと爪割れを
防ぐこともできます。また水虫(白癬症)やひび割れ(過角化症)も防ぐことができて、
いいことばかりです。



 ではどうして「巻き爪」になるのでしょうか。原因としてはいろいろあるのですが、
やはり足全体の形に問題があると言われています。本来爪は地面を踏む時の
圧力を受けることで巻くことなくまっすぐ伸びてきます。しかしハイヒールのような靴を
履いたり、足に合わないような窮屈な靴を履いたりすることで扁平足や外反母趾に
なると、親指は真っ直ぐ地面に接地することができなくなり、爪が真下から圧力を
受けなくなりますので、徐々に巻いてくるのです。



 このように「足の形に問題があります」と説明すると、「足の形を治さないと巻き爪は
根本的に治らないんですか?」ということになってしまいます。でも巻き爪に足の手術
なんて・・・実際にはそこまでしなくても十分対応可能な処置がいくつかあります。当院で
行っている代表的なものを紹介します。




 これは食い込んでいる爪と皮膚の間にコットンを詰める方法です。これで爪が
直接皮膚に食い込むことがなくなり、痛みも楽になります。詰めた後は取れて
しまわないように医療用の瞬間接着剤で固定します。化膿している場合には
コットンに抗生剤を含んだ軟膏を練りつけて同じように詰めます。これで数日後には
感染も治まります。 できればこのまま爪が伸びてくるのを待って、十分長くなると
痛くなることは少ないようです。それでも痛みがあるようであれば別の方法を行います。






 

 これは爪が長いときに行います。爪の先に2箇所穴を
開け、形状記憶ワイヤーを通します。ワイヤーの真っ直ぐ
になろうとする力を利用して、爪を徐々に平らにします。
爪に穴を開けるだけなので痛みはなく、1?2週間で爪は
かなり平らになります。

 




 これは形状記憶ワイヤーのときとは違い、爪が短い場合に使用します。爪の両端中央
くらいに2本のフックをかけて、それを捻り合わせることで爪を平らにします。フックを
引っ掛けるときに若干痛いことがありますが、その場で矯正してしまうためすぐに痛みが
楽になります。





 2や3の方法を行った場合、一旦平らになればワイヤーを外してもすぐに巻いて
くることはありません。しかし先にも説明したように、巻き爪は足の形の問題です。
半年から1年して爪が伸びてくると再び巻いてくることがあります。それまでの間は
爪を短く切りすぎず、しっかり保湿しておいて頂ければ、再発した場合でも対処は
容易になります。




 この他にも個々の爪に応じた治療法を用意しています。爪 の問題は実際の生活では
それほど困ることは少ないかもしれませんが 、時に痛みがひどかったり化膿したりする
こともあります。少しでも気になる方はお気軽にご相談ください。


 
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