今回は手の『しびれ』についてお話ししたいと思います。
「手」がしびれる病気は沢山ありますが、そのなかで中年の女性に比較的多い
『手根管症候群』という病気について述べさせて頂きます。 |
この病気の原因については諸説があって、一つの原因を特定出来ませんが
手を過度に使用することや、リウマチ、人工透析、外傷、腫瘍など基礎疾患によって
発症することが知られております。
中年の女性で手(特に母指、示指、中指)のしびれがあり、夜間にしびれが増強するようなら
本症を先ず考慮すべきです。
手根管とは手関節の前方にあって、手の骨(手根骨)とスジ(横手根靱帯)からなるトンネルをいいます。
頚(くび)から発して上肢の前方を走行し、手までのびている『正中神経』と前腕から指を曲げる『腱』が
このトンネルの中を通過しています。(図1) |
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図1 |
先ほど述べた何らかの原因によって、トンネル内の圧が上昇すると、この正中神経が
絞扼(こうやく)されて症状が出現します。
症状としては母指、示指、中指、環指の外側のしびれ、知覚鈍麻、疼痛があり、
母指の運動が一部障害され、少し、手が使いにくくなります。
夜間に痛みやしびれで目がさめることも多いようです。
治療としては、先ず保存的にビタミン剤、消炎剤の内服、装具による固定などを行います。
三ヵ月以上の保存的治療で改善がない場合や、手の筋肉の萎縮が進んだり、知覚障害が
ひどくなった時には手術療法を行います。
手術は簡単で、横手根靱帯を完全に切離して、手根管を開放し、正中神経の絞扼を
取り除きます。普通、日帰りで手術可能ですが、一日入院となることもあります。
早めに診断し、適切な処置を受ければ手術後の経過は良好です。
その他、手がしびれる病気は沢山あります。
手のどのあたりがしびれるかによって原因、病気が異なります。
肘が悪い場合もありますし、また、頚(くび)が悪いこともあります。
血液の流れが悪くなっても手のしびれ感を生じます。
手、足が一緒にしびれる場合には脳に異常のあることも考えられます。
いずれにしても、手のしびれは病気のサインの一つと考えて
早めに診察を受けられるようお薦めしたいと思います。
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