医師が話す整形外科の病気

 

 
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  医師 山内四朗
 

 
痛風について  


  

 今回は最近わかい人にも増加の傾向のある「痛風」という病気についてお話したいと思います。
この病気で悩んでいる方は日本全国で約五十万人、そして、最近の十年間でその数は倍増したと
いわれております。

この病気は血中の尿酸が高くなり、
この尿酸の結晶が析出し、特に
足の親指のつけね のところで炎症を
起こし、赤く腫れて、痛みが強く出る
のが特徴です。
(図1)(図2)
この病気の本態は、血中の尿酸が
高くなること(高尿酸血症といいます)
ですが、そうなる原因には二つの
ことが考えられ
ます。ひとつは、体内で作られる
尿酸の量が多過ぎる場合、これを
「生産過剰型」といいます。もうひとつは、作られた尿酸が体外へ十分に排泄
されない場合です。
これを「排泄低下型」といいます。
そしてこの二つが同時に現れる
混合型 もあります。

   



高尿酸血症   高尿酸血症を起こす本当の原因は不明
ですが、もともとその患者さんの遺伝子に
異常があり、さらに環境因子として、肥満や
食物の過剰摂取が加わって、発症すると
考えられています。
今の日本は飽食の時代と言われていますが、
このような社会の変化が背景にあって、
痛風のような病気が増えて来ていると
考えられます。
痛みのひどい「痛風発作」は放置しても
数日で痛みが 取れますが、高尿酸血症を
放置しておくのは危険です。それは腎臓に
尿酸の結晶が沈着すると腎障害を起こし
ますし、心臓の場合は狭心症や、心筋梗塞の
原因 になることがあるからです。(図3)


それで高尿酸血症の人は長期にわたり、尿酸値をコントロール
する必要があります。この尿酸値をコントロールするには、二種類
の薬剤があります。ひとつは、尿酸が合成されないようにして尿酸値を下げるもの、もうひとつは、腎臓にはたらいて尿酸を尿中に
沢山排出させ、尿酸値を下げるものです。これらの薬剤によって
尿酸値はコントロールされますが、本当の原因が取り除かれた
わけではないので、長期間の服用が必要なのです。
 


  また、肥満や食物の過剰摂取に対しても気をつける必要があります。
肥満は痛風の直接の原因ではありませんが、痛風の患者さんの約六割は
肥満者ですし、減量によって尿酸値も少し下がるようです。ですから肥満と
痛風との間には多少の関係があるのです。 しかし、厳密な食事制限は
必要なく、ある程度の
範囲で体重をコントロールするということで良いと思います。 

 

人の細胞は約八兆個あるといわれています。これらの細胞が壊れて、また生まれ変わる時に
できる古い細胞の残りかすからできるのが尿酸の大部分であり、食物からの尿酸はごく少ない
のです。この点からも厳格な食事制限は不要です。 痛風という病気は、「痛風発作」が
収まっても高尿酸血症は残ったままであり、それは腎臓や、心臓血管に障害を引き起こすことが
ありますので、痛みが取れても、一生涯尿酸値をコントロールする必要があるということを強調
したいと思います。
 

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