こちらは以前、福井新聞の「福井のドクター相談室」というコーナーに、若年性外反母趾を患った娘さんを持つ、40歳女性の相談に答える形で掲載されたものです。

     
       

外反母趾は足の親指(母趾)が外側に向かって「くの字」に変形したものです。母趾の付け根が靴に当たって赤くなり、腫れ、痛みが出ます。一般的にはハイヒールなど先の細い窮屈な靴を履く大人の女性に多いのですが、小児にもときどき見られ若年性外反母趾として区別されます。
若年性外反母趾も女の子に多く、遺伝の関与が指摘されており、家族内に外反母趾がいる割合は70%と言われています。▽母趾が第2趾(人さし指)より長い▽土踏まずがない(扁平(へんぺい)足)▽足の幅が広い(開張足)▽足の筋肉が弱い▽足の靭帯(じんたい)が緩い-などの足の問題が重なり合って発症していると考えられます。
若年性外反母趾で痛みが出ることは多くはありません。痛みの原因は窮屈な靴にあるとされ、母趾の付け根が靴に当たって滑液包炎を起こしているのではないかと推測されます。
治療としては、まずは窮屈な靴を履かないこと、自分の足に合った、指先を自由に動かせる靴を選ぶこと、靴を長時間履かないことなどです。また足の指を広げるストレッチや筋力トレーニングも効果的です。母趾を内側(外反している方向と逆)に手で広げたり、母趾に力を入れて広がるようにしたりします。
まだ関節の柔らかい小児ではこのような生活上の注意やトレーニングは非常に効果的です。装具を使う場合は成長や運動を障害しないように、夜間装具がお勧めです。靴は高価なものは必要ありません。足の大きさに合ったものを1年に1、2回は買ってあげてください。もし扁平足になっている場合には、土踏まずを持ち上げるようになっている靴を選ぶのも効果的です。中敷だけを交換することやオーダーメードで作ってもらうことも可能です。
以上の治療を行っても、どうしても痛みが続くようであれば手術も考慮します。ただし成長していく小児では、成人と比べて再発する可能性があります。手術では母趾の付け根の手前の骨(第1中足骨)を切り、矯正して固定する方法が一般的です。変形の程度によって最も適した手術方法が選択されます。
すでに整形外科を受診されているようですので、まずは靴を見直して、ストレッチや筋力トレーニングで経過を見ることをお勧めしますが、改善がないようであれば専門の整形外科を受診されることをお勧めします。



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