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    ~明治150年記念福井しあわせ元気大会2018
         第18回全国障がい者スポーツ大会を終えて~

 平成30年10月13日(土)見上げる空は透き通るような青空、
国体総合開会式の大雨が嘘のような秋空の中、私は9・98スタジアムの
フィールドに立っていました。福井しあわせ元気大会の視覚障がい者競技の
一つグランドソフトボールのキャプテンである私は障スポの総合開会式に
仲間と共に参加していました。私の今までの人生の中で間違いなく最高の大舞台。
満員に埋め尽くされたスタンドの中で入場行進した時は、感動と感謝の気持ちで
胸がいっぱいになり思わず涙が頬をつたっていました。スタンドから
聞こえてくる出席者の方々からの沢山の拍手と大声援や地元中学生の子達が
声を合わせた大声援は、決して自分にだけ向けられたものではないと
わかっていますが、このあと試合を控えていた私の大きな励みになりました。
また、国体総合開会式と同じようなパフォーマンスセレモニーは、
沢山の人達が一つとなり皆で大会を作り上げて行こうとする姿が
現れていて感動しました。



 感動と言えば前日に行われたフェニックス・プラザでの激励会。
JETSのパフォーマンスは圧巻で、生で間近で初めて観ましたが
JETSのチアスピリッツがビシビシ伝わってきて感動と励みになりました。
最後に皇太子さまから直接お言葉を掛けて戴けるという名誉な経験も
させていただき、総合開会式も激励会も私のこれからの人生の大きな財産に
なりました。



 総合開会式を終えた私達は、試合会場である永平寺町松岡総合運動公園
You meパークに向かいました。私が参加したグランドソフトボール
という競技は、視覚障がい者スポーツの団体競技で全盲4名・弱視6名が
チームとなり全盲プレーヤーがピッチャーとして転がしたハンドボールを
バットで撃つソフトボールのルールに近いスポーツです。
私は、この競技に出会い、プレーを始めて20年経ちますがこれまでも
様々な大会に参加しています。しかしその私でもこの大会は格式も規模も
日本一の大会で初舞台。会場に足を踏み入れた時は整備された
緑に囲まれたグラウンドと全国大会仕様の設備に改めて大会の重さを
5tf@+++j実感し期待と不安に襲われました。



 今の福井チームのキャプテンを任されて5年。この日を迎えるまで
行ってきた様々な活動が走馬灯のように蘇り緊張は最高潮に達していました。
40歳にもなると日常の生活で緊張することなんてなかなかありませんが、
この日は心臓が張り裂けそうで足が震えるほど緊張してしまいました。
案の定私は、このあと控えていた選手宣誓の大役で考えていた
半分のことも言えない宣誓をすることになってしまいました。
このことは、このあと起こる沢山の後悔の一つとなりました。



「宣誓、我々選手一同は平成最後のこの夢舞台で最高の仲間と
最高のライバルと共にYou meパークに立てるしあわせに感謝し、
最高のパフォーマンスで沢山の方に感動を届け元気を与えられるプレーを
行うことをここに誓います」



 このように伝えたかったのですが見事に頭が真っ白になり
散々な選手宣誓となってしまいました。この緊張は結局試合でも
解けることはなく緊張からくる空回りは私だけではなくチームメイトにも
伝染し気負い過ぎてしまい、自分たちが持っている力を発揮出来ず
惨敗という結果で幕が下りることとなりました。次の日に行われた交流試合で、
守りは自分たちの良さを出せましたが攻撃は変わらずの空回り、
1点が遠い試合となってしまいました。予選を勝ち抜いてきたチームは
場馴れをしていてのびのびとプレーをしていました。我々は所詮付け焼き刃、
全国大会はそんなに甘くないぞと簡単に勝てない甘く見るなと言わんばかりの
プレーを沢山と魅せ付けられました。



 スポーツは結果がすべてだと思っています。参加することに
意義があるなんて言葉がありますが、そんなのは詭弁です。
勝負は勝ってこそ、でなければ5年間積み上げてきたものが報われません。
沢山の人達の協力と応援・サポートの上にこのチームはありました。
結果を出せなかった、力を発揮出来なかったこのことも後悔の一つと
なりました。 沢山の後悔で終わってしまった今大会。本当に様々な経験を
させていただきました。しかしこのままで終われないそんな気持ちで
いっぱいです。



 先日、大会が終わりしばらくした冬の日に久しぶりの練習会がありました。
久しぶりに会うチームメイトはあの透き通った青空の夢舞台で1点を
夢中に取りにいっていた気持ちのままでした。練習会のあと、
お疲れ様会を兼ねて今後のことを話し合うミーティングを行いました。
みんなそれぞれいろんな思いをぶつけ合いました。取り戻せない後悔、
自分たちはこんなもんじゃないまだ何も成し遂げていない、
そんな思いでいっぱいです。あの夢舞台にまた立ちたい、
そして果たせなかった夢の続きを追いかけたい。もうしばらく
夢を見ようと思います。

今回関わってくれたすべての人たちにありがとうの言葉を添えて…。



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