私は結婚して自分の子供が出来るまで、正直子供が苦手でした。子供の集団に 遭遇すると、高い確率で「あ、どろぼー!」「オッサンだ」等々の暴言を吐かれ 心の中で「君たちも将来こうなるんだ!」と思っていました。今になって思うと、 照れや恥ずかしさもあって子供との接し方がわからなかったんだと思います。 私は27歳の時に結婚したのですが、しばらく子供が出来ず検査したところ 妻が不妊症ということがわかりました。(現在は夫婦の6組に1組が不妊症とも 言われています)しかし、当時子供が苦手だった私は、特にショックを受ける こともなく自然にまかせればいいのではないかと思いました。妻も子供にそこまで 執着があるわけではなく、友人が子供を産んでいるのを見て自分も子供が欲しいと 思う程度だったと思います。それから夫婦で話し合い、無理のない範囲で不妊治療を してみようかということになりました。確か3回目の人工授精をした時だったと 思います。妻が妊娠したっぽいと夕飯を食べている時に言いました。そんな すぐにはできないだろうと思っていたので、検査で陽性反応が出た時は驚きました。 驚いたと同時に喜びよりも自分が子供を持っても良いのだろうかという不安が 襲ってきて、その夜は眠れなかったのを覚えています。結局、その妊娠は 20日程経過して流産となってしまいました。妻は珍しく泣いておりちょっと 戸惑いました。私もそれまでは強く子供が欲しいと思うことはなかったのですが、 妻が妊娠出来るということがわかると、自分の子供が欲しいという思いが 強くなっていきました。
不妊治療を続け、妊娠と流産を何回か繰り返し6回目の人工授精をした 1ヶ月ぐらい後に、妻が「最近お腹が張ってつらいわ~」と言ったので私は 「ガス溜まりすぎなだけでしょ。ちょっと見せて」と言って妻のお腹を見て ギョッとしました。お腹が張っているどころか妊娠5ヶ月ぐらいのお腹に なっていたのです。おいおいこれはいくらなんでも異常だろう。自分の お腹がこんなになっているのに危機を感じていない妻もどうかしてると 思いながら、翌日一緒に病院へ行きました。結果は卵巣過剰刺激症候群と 診断され、すぐに入院となりました。妊娠もしていて安静にしていなければ ならず、ジッとしていられない性格の妻が外に出られず暇そうにしているのを見て、 なぜか笑ってしまいました。10日程度で退院となり、その後の経過は順調で 無事に出産となりました。
長男が生まれてすぐには子供が苦手という意識は変わらず、泣きじゃくる子供を どう相手していいものかわからず戸惑う日々でした。抱っこして泣かれ、お風呂に 入れて泣かれ、寝かしつけて泣かれ・・・子育てに悩みストレスを感じる親って こんな感じなんだろうなと初めて理解できた気がします。しかし、子供が 3歳ぐらいになり、ようやく言葉を話し始めて意志の疎通が出来る様になると、 私の子供に対しての苦手意識が劇的に改善されました。それまでは子供の相手を するのが苦痛で仕方ありませんでしたが、楽しく感じるようになったのです。 子供の笑顔を見ることが嬉しくて、子供の喜ぶことをたくさんしてあげたいと 思うようになりました。自分の気持ちの変化に戸惑うぐらい驚きました。 今では仕事から帰ってから子供と遊び、休日も子供とゲームをしたり一緒に 遊んでいます。
ニュースを見ていると、子供を虐待したり、子育てを放棄したりする親の 話題が出てきます。それは到底容認できることではありませんが、私には なんとなくその気持ちは理解できます。きっと子供とコミュニケーションが とれず、どうしていいかわからないんだと思います。しかし、そんな人にぜひ 言いたいです。「3年我慢して!」石の上にも3年という言葉がありますが、 子育てでも3年我慢すればきっと状況は変わってきます。あんなに子供が 苦手だった私でも変わったんだから。少しでも子育てで悩む人が減ると いいなと思います。子供っていいね!