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6年前に、新潟から福井に戻ってきた。
仕事で新潟に移った16年前と、福井は少しも変わらなかった。時間の流れが
止まっていたかのように、見知った場所に見知った建物があった。安心感を
覚えた反面、淋しさも募った。


福井に来て、少し自分の時間が出来た。何かしたいなと思った時、主人と
二人で美術館巡りをすることに決めた。「これ、観たい」と思った展示会は、
時間のやりくりをして行くことにしている。今1番のお気に入りの美術館は、
富山県の「ミュゼふくおか カメラ館」。

安藤忠雄氏がデザインしたコンクリートの建物は、オシャレでどことなく洗練されている。狭い土地を
有効に使い手法を駆使し、小さな福岡という街に
ひっそりと佇み、大袈裟でもなく、さりとて存在感
が無い訳ではない所もとても気に入っている。

 


催しの期間中は、カメラ館はカメラマンと一体化
する。カメラマンの息遣いや想いが聴こえてくる。
写真美術館なので、展示は全て写真だ。絵画は
素敵だが、写真もいい。すごい早さで流れる時間
から、一瞬一瞬を切り取るチャンス、今か今かと
耐え忍ぶ時間、探して探してでも探しきれない
せつない時間、待って待って待ち切れなかった
衝撃的時間―そんな時間を背負っての写真は、
感動を生み、せつなささえ漂う。人間は小さい、
世界は大きい、知らないことも、見ていない
こともたくさんある、地球の神秘に抱かれている
自分を再確認する。些細な事に目をつむろうと
さえ思えるようになるから不思議だ。
 



今は、篠山紀信氏の写真展が開催されて
いる。めずらしく主人から「これ、行きたい!」
と言ってきた。彼もあちらこちらとつき合わ
されている間に、私の趣味に染まりつつある
ようだ。私は、篠山紀信氏の想いに染まり
たい!―と「ミュゼふくおか カメラ館」に行く日
を楽しみにしながら、時間のやりくりを考える。今一番私がはまっていることである。今流行
の言葉でいえば、「マイブーム」である。
 



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